教育において、対象理解はとても重要です。
相手を知ることで、教育のアプローチ方法を相手に合わせて変化させることができます。
しかし、「そんなこと言っても、新人の本音を引き出すのって難しいんだよ!」とお思いの皆さん。そうなんです。他人の本音を引き出すって難しいんです。
嘘をつく
大丈夫じゃないのに大丈夫と言う
自分には本音を教えてくれない
特に「嘘をつく」人というのは、「自分の非を認めたくない」特性があるので、なかなか本音を引き出すのが難しいです。
ではどうしたら、本音を聞き出せるのでしょうか?
新人の本音を引き出すためには、コミュニケーションのコツがあるんです。
この記事では、なかなか本音を聞き出すことが出来ない人が、新人の本音を引き出すコツを伝授します。やりがちな失敗例も併せて書いていますので、自分がやっていないか確認してみてくださいね。
立ち話で本音は聞き出せない、必ず座って話す
看護師は仕事がいっぱいあるので、なかなかゆっくり座って話をする、ということが出来ないこともあると思います。
でも、人の本音は立ち話では聞き出せません。
相手にとって立ち話は、「短い時間で話さなくてはいけないのではないか?」と心理的な焦りが出てしまいます。
どうしても座って話すとなると堅苦しくて苦手、という人もいるかもしれませんが、短い時間でも相手から何かを引き出したい時は、座って話すのがベターです。
本音をさらけ出すのはとても勇気がいることなので、出来れば面談室など、空いてる部屋を使って他人に話を聞かれない環境も作るように配慮しましょう。
座る場所は正面ではなく、L字が基本
真正面に座るのは「対決の位置」なので、相手に共感を寄せる時には向いていません。
L字のように90度の姿勢で向き合います。
距離は膝と膝がギリギリくっつかない程度が理想です。
話を聞くときは少し前のめりで、顎を引いて、相手の口元当たりを見ます。
直接目線を合わせると、緊張してしまいますので、目を見ているかいないかくらいが良いです。
これで「ちゃんと聞いているよ」というのを見せる姿勢となります。
聞いてくれていない様子が少しでもうかがえたら、相手は本音を話してくれません。
一見どうでもいいように思えて、一番効果的だったりします。
是非試してみてください。
間(ま)を恐れずに、少し待ってみる
相手と話していると、どうしても間が出来てしまうことってありますよね。
質問の仕方が良くない、という場合もありますが、相手が考えている時間を大切にしてあげるのも大事です。
間を恐れ、先手を打って話をしない
人によってはこの話の間を恐れて、「こうなんじゃない?」「ああなんじゃない?」と先手を取って会話を進めてしまう人がいます。
そうすると、相手の本音は見えてきません。
相手が真剣に考えてくれているからこそ、この間が生じるのです。
相手が考えてる様子がうかがえたら、辛抱強く待ってみましょう。
先手を打ってしまうと、本音を言うのを途中でやめて「そう、ですね…」と自分の意見を出しづらくなってしまいます。
それでも出てこない時は、質問の仕方を変えてみる
間を我慢して待っても、一向に意見が出てこないことがあります。
その場合は、聞き方が悪いのかもしれません。
新人さんは失敗したくない、怒られたくない一心で必死に答えを出そうとします。
質問の仕方が曖昧だと「この回答は、求められている回答なんだろうか?」と思ってしまい、なかなか言葉にすることが出来ません。
次の段落で、どのような質問の仕方が良いのか解説します。
自分が感じたことを事実として伝えてから、質問をする
新人さんの様子が心配で「大丈夫?」とだけ声をかける人がいます。
「大丈夫?」と聞かれたら、大概の人は「大丈夫です」と答えます。
それでは何も問題は解決しません。
自分が何故「大丈夫?」と声を掛けたかったか、事実を伝えましょう。
「私はAさんがいつもと違って〇〇のように感じたんだけど、何かあった?」
と聞くと、「いえ、何もないです、大丈夫です」と突っぱねる人はなかなかいないと思います(ごくまれにいますが)。
「正解はないから、素直な気持ちを教えて欲しい」と言う
それでも教えてくれない人や「大丈夫」と言ってきかない人もいます。
そんな時は、「この質問に正解はない」ということを伝えてみてください。
新人さんは、失敗体験を恐れているんです。
特に高校受験・大学受験・就職活動において、一度も挫折を経験しなかった新人さんは、社会に出てから一気に様々な失敗体験を経験し、失敗への極度な不安を覚えます。
だから、どんな質問にも正解を求めます。
ここで見当違いな回答をしても、決して「そういうことじゃなくて…」などと言ってはいけません。見当違いな回答をしてしまうような質問の仕方がわるかったんです。
相手に対し、「どんなことを言っても受け止めるよ」「正解も不正解もないから、本音を教えて欲しい」という姿勢を貫き通すのが大事です。
自分に本音を教えてくれないなら、「他の人から聞き出す」でもok
特に、既卒新人や潜在看護師から復職してきた人、社会人を経験してきた看護師に多いですが、プリセプターに対して本音を絶対に言わない人がいます。
本音と建て前を使い分ける人が、一定数いるということです。
これはプリセプターに良く思われたい人の特徴で、プリセプターには絶対弱音を吐かず、新採用者同士で辛さを共有していたりします。
こういう人から、無理に本音を聞き出そうとすると、本人の自尊心を傷つける可能性があるのでお勧めしません。
本音を言える人が自分以外に存在するのなら、私はそれでいいと思っています。
使えるリソースはどんどん活用する
もし自分以外に本音を言える人がいるなら、その人たちからそっと聞き出すのもありだと思います。もしその本音を言える人達同士で、その悩みが解決されているなら、本音を根掘り葉掘り聞きだす必要も、ないかな?と私は思います。
ただし、職場環境が悪くてやめたい、指導方法が合わなくて困っている、など職務に影響を及ぼすようなら、どうにかしてでも聞き出した方がいいですね。そしてやんわりと聞いてみる。
「〇さんに聞いたんだけど」と言ってしまうと、告げ口されたような形になってしまうので、「〇について悩んでるように見えるけど」と話を切り出すのがGOOD。
それでもかたくなに本音を言わないようなら、「いつでも話聞けるから、言いたい時は言ってね」「また今度、話聞いてもいいかな?」と、相手から話すきっかけを与える終わり方にすると良いと思います。
まとめ
今回は、相手から本音を聞き出す方法についてまとめました
立ち話で本音は聞き出せない、必ず座って話す
→座る場所は正面ではなく、L字が基本
間(ま)を恐れずに、少し待ってみる
→間を恐れ、先手を打って話をするのを我慢してみよう
→それでも出てこない時は、質問の仕方を変えてみるのもあり
自分が感じたことを事実として伝えてから、質問をする
→「正解はないから、素直な気持ちを教えて欲しい」と言ってみる
自分に本音を教えてくれないなら、「他の人から聞き出す」でもok
→使えるリソースはどんどん活用しよう
自分に置き換えてみればわかると思いますが、本音を言うって勇気のいることです。
それを友達でもない他人に打ち明けるよう話を持っていくのは、かなりの高等技術。
新人指導者と新人の間にある信頼関係は、1日で出来るものではありません。
今回ご紹介したような、ちょっとしたコツの積み重ねで、少しづつ教育の経験を積んでいきましょう。
このサイトでは、指導者が辛くならないための看護師の育成についてまとめています。
もし指導に関してお悩みがあれば、お問い合わせフォームからご連絡ください。
一緒に楽しく、教育について学びましょう^^
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