「新人が何を考えているのかわからない」
こんな悩みを抱えている皆さん。
安心してください、指導に携わるすべての人がこの悩みを抱えています。
何を考えているのかわからない新人に、手ごたえ無く毎日教えていると、どんどんメンタルが辛くなっていきますよね。
ところで、この「何を考えているのかわからない」新人さんに、皆さんはどの程度向き合えているでしょう?
相手のことを、どのくらい知っていると思いますか?
教育の基本は、対象理解から始まります。
今回は対象理解って具体的にどうすればいいのか、ポイントを2つに絞りました。
・相手の立場になって考えてみる
・自分と相手は違う人間であるということを、再認識する
今回は、この2つのポイントを解説していきます。
この記事を読めば、「何を考えているのかわからない新人」に対して、どのように向き合っていけばいいのかがわかります。
相手の立場になって考えてみる
教育する人は、教育することにいっぱいいっぱいです。
看護師の場合、3~4年目がプリセプター(実地指導者)になることが多いので、実務と教育の両立をすることが大変心労につながります。
「どうして教えたのにわかってもらえないんだろう?」
「昨日わかったって言ったのに、全然わかってないじゃない!?」
こんな風に、どうしても自分目線で相手をとらえてしまいます。
数年前の、新人の頃の自分を思い出してみましょう。
毎日新しいことを説明されて、たったひとつメモし忘れたことを「昨日も説明したのに!?」と怒ってくる先輩。
「見学したんだから、できるよね?」と無理やり独り立ちさせられ、案の定失敗して医師に怒られる日々。
そう、新人さんはいっぱいいっぱいです。そして最終的には無言になります。
これが「何を考えているのかわからない新人さん」の正体です。
聞いたら怒られる、聞かなくても怒られる。
じゃあ自分から意見を発信するのを辞めよう。
こんな風に考えている(考えていなくても、そういう心理状況になっている)新人さんは多いです。
では、私たち指導者は、どうすればよいのでしょうか?
こんな新人さんを作り出している環境は何か?
どうしてそういう心理状況になったのか?
相手の立場に立って考えてみると、対象理解がより深まり、どのようなアプローチをすればよいかがわかってきます。
想像力を働かせるのは、看護師の得意分野!
患者さんが
「どう思ってこの言動に至ったのか?」
「どうして治療を拒否するのか?」
「どうして受診しなかったのか?」
私たちは日々、患者さんと向き合う過程の中でこのように「想像力」を発揮しています。想像力なしでは、看護師という仕事は務まりません。
しかし、いざ対象が患者以外になってしまうと、その想像力を使うことを疎かになってしまうのも事実です。
「なぜ新人は事故を起こしてしまったのだろうか?」
「なぜ課題をやってこないのか?」
「なぜ平気で嘘をつくのか?」
この問いに対する回答が「新人だから仕方がない」だと、何も解決されません。
常に「どうして?」を意識することで、一歩進んだ教育につながるのです。
プリセプターは「新人にとって一番の味方であること」が絶対条件
「プリセプターが怖くて、一緒に勤務したくない」
「プリセプターが厳しすぎる」
「悩みを打ち明けたのに、努力しろって言われて終わった」
こんな体験談、良く聞きますよね。
プリセプターをはじめとする新人指導者の立場の絶対条件は、「新人にとって一番の味方であること」だと私は思っています。
新人さんは、常に過緊張状態です。
そんな状況で、一番の心のよりどころであるプリセプターに見放されたらどうでしょう?耐えられませんよね。
まずは、新人の気持ちに寄り添うこと。
理解できないこともあるかもしれませんが、理解しようと努力してみること。
そして何より、見放さないこと。
これだけで新人さんは、安心して仕事に取り組むことができます。
自分と相手は違う人間であるということを、再認識する
人は誰しも、自分優位に考えてしまう傾向にあります。
ですから、自分の常識は相手にとっても常識であると勘違いしがちです。
例えば、「新人は誰よりも早く出勤して、情報収集するのが当たり前だ」と言う価値観がある人がいたとします。
その価値観を新人にぶつけた時、新人はどう思うでしょうか?
「新人は早く出勤しないと怒られるんだ」という恐怖かもしれませんし、「就業時間前に仕事を要求するのはパワハラではないか?」という怒りを覚えるかもしれません。
このように、「常識」だと思われるものひとつとっても、相手と自分は違う思考の持ち主である、ということを再認識する必要があります。
人は意外と、自分と他人は違う人間であるということを忘れてしまう
良くネットでも、「妻と夫、言い分の不一致で喧嘩」なんて、よく見かけますよね。
人は誰しも違う生き物だということはわかっているのに、こうして喧嘩を良くしてしまいます。それは何故でしょうか?
「自分の考えていることは、相手もそう思ってくれているだろう」と無意識に考えるからです。
教育の場面でも、同じことが言えます。
自分の大事にしている事、考え方、思考法…全て相手も「同じである」という前提で話を進めていくから伝わらないのです。
そこを打破するには、相手を良く知ることが必要なんですよね。
教える相手は千差万別。
ですから、教育に正解も不正解もありません。
絶対解(こう教えれば間違いない)もありません。
まずは相手を知ることから始めてみませんか?
「何を考えている変わらない新人」ではなく、「私とは違う考え方の持ち主である新人」として、捉えなおしてみましょう。
「自分と他人は違う人間である」と考えると気持ちも楽になる
どうしても、相容れない人という人は存在します。
相性悪いな、という新人にあたることもあるでしょう。
そこで必要なのは「自分と新人は違う人間だから、同じじゃなくて当たり前なんだ」と言う考え方です。
自分と同じ考え方、やり方、常識、進行速度にしようとすると、指導者は凄く疲れます。周りからも「あの子、成長遅くない?」と言われると、なおさら焦ります。
大事なのは、「新人を自分のコピーに仕立てよう」と頑張らないことです。
こうすることで、自分も気持ちが楽になるし、相手も自分のペースで頑張ることができます。
まとめ
今回は教育における対象理解の重要性についてポイントを2つに絞って解説しました。
相手の立場になって考えてみる
①看護師の得意分野である想像を働かせてみよう
②プリセプターは「新人にとって一番の味方であること」が絶対条件
自分と相手は違う人間であるということを、再認識する
①人は意外と、自分と他人は違う人間であるということを忘れてしまう
②「自分と他人は違う人間である」と考えると気持ちも楽になる
看護師はマルチタスクが得意なので、頼られれば精いっぱい頑張りますが、誰にも頼らず一人で頑張ってしまい、辛くなって心を病んでしまう傾向にあります。
教育は、一人で頑張るものではありません。
このサイトでは、指導者が辛くならないための看護師の育成についてまとめています。
もし指導に関してお悩みがあれば、お問い合わせフォームからご連絡ください。
一緒に楽しく、教育について学びましょう^^
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