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「何度説明してもわかってくれない新人看護師」理由と対策を解説

プリセプターの辛いを解決

この記事は、新人看護師の教育担当として初めてプリセプターを任された看護師、また教育委員や管理職など指導者を指導する立場にある方を対象に書いています。

 

プリセプターは基本的に新人看護師を選べません。

そのため、「どんな子が来るんだろう?」「相性が悪かったら?」「やる気が無かったら?」など様々な不安を抱えながら業務を担うことになります。

そんな不安やストレスの一つが、今回のテーマである
「新人看護師に何度説明してもわかってもらえない」
「何度説明しても、初めて聞いた顔をする」
という問題です。

みなさんは指導していく中で、こんなことを言われた経験はありませんか?

「その説明は初めて聞きました!」

「聞いた気がするけど忘れてしまいました」

「思い出せません」

「ちょっと覚えてないですねー」

「聞いた気がするけど、もう一度教えてもらってもいいですか?」

 

たまにならいいですが、このやり取りが頻回になってくると、プリセプターである皆さんは様々な感情が芽生えてくると思います。

「この子、やる気あるの?」

「何度でも説明してくれる、都合のいい先輩だと思われてるのかな?」

「ちゃんと真剣に聞く気、ある…?」

 

この記事では、「何度説明してもわからない新人看護師」「説明を聞いたことがないという新人看護師」を受け持っているプリセプターが、

①何故辛いと感じるのか

②説明してもわかってくれない原因と対処法

③このストレスをどのように解消したらよいのか

それぞれの考え方をまとめました。

 

何度説明してもわかってくれない新人看護師を受け持って辛くなっているプリセプターの皆さん。
この記事を読めば、どうして辛いのか、その辛さをどのように解決したらよいのかがわかります。

新人看護師が「わかってくれない」「聴いていないと言う」理由は様々です。
そのパターンに合わせた対処法まで記載しております。

この記事を読んで、プリセプターの辛いを解消していきましょう。

「新人看護師に何度説明してもわかってもらえない」辛さとは?

プリセプターは、「新人看護師に何度説明してもわかってもらえない」ことによって、何故辛いと感じるのでしょうか。

メンターの方や教育委員など指導する立場の方向けに、その理由を簡単にまとめました。

・プリセプター自身が、自分の教育・指導に自信がなくなる

・新人看護師から馬鹿にされている気持ちになる

・新人看護師が成長する気がないのかと疑問に感じる

プリセプター自身が、自分の教育・指導に自信がなくなる

以前に説明したにもかかわらず、「そのことは初めて聞きました」「聞いたけど忘れてしまいました」と言われると、自分の説明に自信がなくなっていきます。

「説明の仕方が悪かったんだろうか。」
「私だから伝わらないんだろうか。」
「もっと上の先輩なら上手に説明できるんだろうな。」

現状の医療業界のプリセプターがそう思って辛い気持ちになるのも当然です。

何故なら、新人看護師がそのような行動に至る理由も、原因も、対応策も、何も教わってないからです。

大丈夫です。後半でちゃんと解説していきます。

 

新人看護師から馬鹿にされている気持ちになる

「聞いた気がするけど、もう一度教えてもらっていいですか?」と言われたり、絶対に教えたはずなのに「その説明は聞いていません」と言われると、プリセプターは新人看護師から「馬鹿にされている」「なめられている」「都合の良い先輩だと思われている」と錯覚しがちです。

そういう考え方に行きついてしまうと、次の項目にあるように「この子、やる気あるのかしら?」という発想に行きつくのは時間の問題でしょう。

そして舐められないためには、新人の頃怖いと思っていた「怖い先輩」にならないといけないんだろうか、と思い悩みます。

新人看護師に優しく接したいのに、そうすると舐められそうで怖い。
この感情の板挟みに、プリセプターはつらくなっていきます。

 

新人看護師が成長する気がないのかと疑問に感じる

何度も同じ説明を繰り返していくうちに、「この新人看護師はやる気がないのでは?」「覚える気などさらさらないのでは?」と疑惑の目で見てしまいます。

プリセプターが新人看護師を疑いの目で見てしまうほど、悲しいことはありません。

プリセプターの教えるモチベーションもがくっと下がってしまいます。

新人看護師に説明を分かってもらえない時の解決方法

「説明をわかってくれない」と一言で言っても、状況や理由は様々です。

ここでは理由と対応策の概要を簡単に解説します。詳しくは別記事で紹介します。

・優位感覚を確認する

・相手の理解度を確認しながら説明する

・1回教えたことは教えたという事実を伝える

・すべて実行しても解消されないなら、新人の理解力に問題がある

・新人看護師を委縮させる禁句

優位感覚を確認する

人は学習を含むあらゆる行動をする時、それぞれの優位感覚が異なります。

教える人(プリセプター)と教えてもらう人(新人看護師)の優位感覚が不一致だと、せっかく熱心に教えていたとしても全く効果的ではないことがあります。

 

例えば、視覚型はメモを取る事に重きを置きますが、聴覚型は会話の流れに重きを置きます。
この二人が教育関係にあるとどうなるでしょうか?

例1)
プリセプター → 聴覚型
新人看護師 → 視覚型プ:「メモ取ってないで、話をちゃんと聞いて!」新:(メモ取らないと、覚えられないよ…しかも話長い)(後日)

プ:「こないだこう言ったよね?」

新:「(メモになかったから)聞いてないと思います」

あるいは逆の場合でも、

例2)
プリセプター → 視覚型
新人看護師 → 聴覚型プ:「ほらちゃんと聞いたことはメモしないと、メモしないと忘れちゃうでしょ?」新:(メモ取ってる間に話が進むと理解できない…しかも話が前後してわかりにくい)(後日)

プ:「こないだこう言ったよね?」

新:「聞いてないと思います」←(メモをしている間に理解できなくなったから)

お互いがお互いの優位感覚を理解していれば、全ては解決しないものの、ある程度の範囲で理解の乖離を回避することができます。

優位感覚については「新人看護師の理解」のカテゴリーにて紹介しています。
以下にリンクを用意しておりますのでご参照ください。

相手の理解度を確認しながら説明をする

前項の優位感覚を捉えれば、ある程度その人に合わせた説明が出来るようになるでしょう。
そこにさらにひと工夫するだけで相手の理解力がアップする、単純な方法を教えます。

相手がどこまで理解しているか確認しながら説明をする

これだけです。

一方的に説明をしただけでは、教えたことになりません。必ず「どの程度理解したか」を確認しながら説明する必要があります。

具体的な方法は、こちらの記事にまとめています。

「相手が正しく理解しているか判断する方法」(作成中)

1回教えたことは「教えた」という事実を伝える

新人看護師は、言葉のニュアンスや切り口を少しでも変えると「違うもの」だと認識します
ニュアンスが違えば、一度教えたのに「聞いてない」と答えてしまいます。

これはこちら側の問いかけの意図が伝わっていなかったり、知識と問いかけが繋がっていないから起こってしまう現象です。

「〇については教えたよね?」「聞いてないと思います」と答えても、いざ解説を進めると「やっぱりそれ、聞いたことあります」という場面によく出くわします。

出来れば同じ説明を二度繰り返すという無駄な時間を使いたくないですよね?

そんな時には「あの時こんな説明をしたけど、覚えてるかな?」と問いかけてみてください。
「あ、あれのことですか」と思い出してくれることがあります。

それでもやっぱり「聞いてない」と言われれば、優位感覚の不一致や理解不十分で説明を聞いてしまったなどが原因として考えられます。

 

すべて実行しても解消されないなら、新人の理解力に問題がある

上記の手段をを駆使し、あの手この手を尽くしても「理解できない・覚えられない・実行できない」新人看護師がまれにいます。

この場合、プリセプター1人で頑張って考えても限界が来ます

教育は、1人で頑張るものではありません。
上司や教育を担当するスタッフに相談してみましょう。

本人も気づいていない発達障害などが隠れている場合もあります。
障害と診断されるほどではないけれども、理解に時間が要するスタッフも一定数います。

 

詳しくは、成長しない新人看護師についての記事をご覧ください。

新人看護師を委縮させる禁句

何度説明してもわかってもらえないとイライラしてきます。わかります。でもそこで切り札のように使ってはいけない禁句があります。

「一度しか説明しないからね」

「それ、こないだも説明したよ(だからもう説明しないね)」

私もやられた一言です。もうそれはそれは、何回も言われました。

そしてその後どうしたかというと、優しい先輩に聞きに行きました。
プリセプターに質問するのは一切辞めました。

そう、結果的には気軽に質問できるプリセプターではなくなります。
でも新人看護師の疑問は解決しないので、結局は誰かに聞くことになります。

新人看護師が何度説明してもわからないのは、ちゃんと聞いていないから、ではないということがここまでの解説の中でお分かりいただけたと思います。

ですから、この禁句は逆効果です。絶対に使わないでください。

何度説明しても分かってもらえない時のストレス解消法

絶対に説明したのに、わかってもらえない、聞いてないと言われるとストレスがたまります。当たり前の反応だと思います。

でもそんな時、イライラせずに指導と向き合っていくことが必要になります。

以下はストレスの解消法として、自分の気持ちとどのように付き合うかという考え方の一例です。

・自分の説明のバリエーションを増やすチャンスと捉える

・新人看護師の「素直な」言葉を受け止める

・イライラした時に使える魔法の言葉がある

 

自分の説明のバリエーションを増やすチャンスと捉える

教育上、何かしらの問題や壁があるからこそ、自分の教育に疑問を感じたり、指導方法のバリエーションを増やしたりできるんです。

そつなくこなす新人、自分と同じタイプの新人ばかり教えていても、自分の教育者としての成長にはなりません。

「聞いてません」を繰り返されるとイライラしたり、自分の指導方法に自信を無くしたりすることもあるかと思います。でもその痛みは、成長のチャンスです。

教育には、絶対的に正しい方法など存在しません。
個別性に合わせて変化させていくのが基本です。

3~4年目の看護師がプリセプターをしていると、どうしても自分がやりやすい方法や、自分がかつて新人だった頃に教えられた方法しか知りません。
しかし、その方法が合わない新人看護師だってたくさんいます。

看護師は、何年目になっても教育とは切っても切り離せない関係性にあります。

指導のバリエーションが増えていれば、様々なことが試せる指導者になっていることでしょう。

 

新人看護師の「素直な」言葉を受け止める

この項目は、私の個人的な最近の若い世代への印象について記載しています。
人によっては、そんなことはないと思うかもしれませんので、先に明記しておきます。

 

最近の若い世代は、いい意味でも悪い意味でも「素直」な反応をすることが多いように感じます。

「教えられていない(と自分が感じている)」ものは、「教えられていない」と素直に言います。感じているという主観が、本人にとっては事実だからです。

例えば何か事故が起こった時に「なんで〇〇しなかったの?」と怒られても「教えられてなかったからできませんでした」と素直に言う人が多い印象です。

私の世代(30代)なんかだと、例え教えられていなかったとしても自分に非が少しでもあれば「すみません」と謝ってしまいがちなので、そういう「教えられていません」という反応を見ると、「この新人は反省もせず、教えられていないと言えば済むと思っている」と否定的に見られることがあります。

でも違います。
新人看護師本人は(自分の中で正しいと思っている)事実を伝えているだけなんです。

つまり何が言いたいかと言うと、新人看護師が「聞いてない」とか「知らない」という意味は、素直にその言葉の通りの意味だと思ってください。

その言葉の中には、「聞き逃したことはもう一度聞けばいいや」とか「この人は何回聞いても怒らないから甘えよう」というずるい意図は含まれていないことがほとんどです(もちろんごくまれに、そういう意図を持つ世渡り上手な例外もいます)。

「知らない」と言われれば、「知らないと思ってるんだな」
「聞いてない」と言われれば、「覚えられるような説明が出来ていなかったんだな」
と捉えるようにしてみましょう。

 

イライラした時に使える魔法の言葉がある

人はどういう時にイライラするのでしょうか?それはずばり、他人に期待している時です。

皆さんは、無意識に新人看護師に期待しています

「一回言えば理解してくれるだろう」

「言わなくても、察してくれるだろう」

「2回言えばそろそろわかるだろう」

でもそれって、自分が勝手に思ってる期待なんですよね。

イライラしたら「私、勝手に期待してたな」って、心の中で思ってください。
そう思っているうちに、自分の気持ちが静まっていきます。

 

ここで勘違いして欲しくないことがあります。
みなさんは、新人看護師が一回の説明でわかる努力は、プリセプターとして全力でしましょう。

しかし、「私が指導を努力すれば新人看護師は理解するはずだ」という過度な期待をするとイライラしてしまう、ということです。

新人看護師は、色んな新しい情報を抱えていっぱいいっぱいな状態です。
はなから1回で理解する、が難しい。それが通常の状態です。

 

例えるなら、生まれて初めてゲームを触った人に、「詳しく説明するから、1回も死なないで1面をクリアして」って言ってるようなものです。はなから無理なんです。

だからそこは、なるべく期待をしない努力をします。

特にイライラに代表するネガティブな感情に支配されがちな人にとっては、大事なメンタルコントロールのひとつです。

(普段からあまりイライラしない人は、他人に過度な期待をしない、が自然とできているんだと思います)

だからと言って、新人さんに「あなたには全然期待してしてないから大丈夫だよ!」とは言ってはいけません。

「大丈夫、やってごらん、あなたなら出来るよ」と言葉では言いつつ、心の中では過度な期待をしない。
これ出来るようになると、とても楽になれます。

この「新人看護師の指導の中でイライラしない方法」は別記事で詳しく紹介しています。

指導上でのイライラを解消する方法(準備中)

まとめ

今回は、「何度説明してもわかってくれない新人看護師」について、

①何故プリセプターは辛いと感じるのか

②何度も説明してもわかってくれない新人看護師の対処法

③プリセプターのストレスを解消する考え方

を紹介しました。

 

【プリセプターの辛さの理由】

・プリセプター自身が、自分の教育・指導に自信がなくなる

・新人看護師から馬鹿にされている気持ちになる

・新人看護師が成長する気がないのかと疑問に感じる

【何度説明しても理解してくれない新人看護師の具体的な対処法】
・優位感覚を確認する

・相手の理解度を確認しながら説明する

・1回教えたことは教えたという事実を伝える

・すべて実行しても解消されないなら、新人の理解力に問題がある

・新人看護師を委縮させる禁句「一度しか説明しないからね」

【プリセプターの辛いを解決する方法】
・自分の説明のバリエーションを増やすチャンスと捉える

・新人看護師の「素直な」言葉を受け止める

・イライラした時に使える魔法の言葉「相手に過度な期待をしない」


プリセプターの中には、「新人看護師の問題は全部自分が解決しなければ!」と責任を感じて誰にも相談できず、結果的に潰れてしまう人がいます。

責任感が強い看護師の特徴かな?とも思います。

記事中でも書きましたが、新人看護師教育は一人で頑張るものではありません。
成長できない新人看護師の教育的問題は、部署全体で解決する問題です。

そのことを、忘れないでくださいね。

もしこの記事を読んでいる教育担当者(メンター)の方がいたら、是非困っているプリセプターに手を差し伸べてあげて欲しいと思っています。

プリセプターと新人看護師を孤立させない教育が、日本全国に広がって欲しいと思っています。

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