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医療従事者の給与は、何故医療の質で算定されないのか?について考えてみた

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さくらこ先輩
さくらこ先輩

現役で10年以上オペナースをしています、さくらこ先輩と申します。私は主にTwitter(@sakurako_ope)で、日本の医療問題について幅広く発信しています。

Twitterでは看護師さんや放射線技師さん、臨床工学技士さん、お医者さんなど、様々な医療従事者の方と一緒に、日本の医療はどうしたらよくなるのか?についてディスカッションしています。

様々な医療従事者の方と接していると、とあるTweetを良く目にします。
それは「医療従事者の給料って、医療の質では評価されないよね」問題です。

医療従事者って、給料が高いっていうイメージじゃないですか。きっと医療従事者を目指す人の中にも「給料が高いから」という理由で資格取得を目指した人は多いと思います。そして、医療の質を上げれば当然給料が上がると思いますよね。

でも蓋を開けてみればどうでしょう?

実は基本給ってそんなに高くなくて、時間外手当や夜勤手当を貰うことでやっと高給取りというレベルになっている、という現実を思い知らされます。質なんか、もちろん評価なんてされやしません。

Twitterでも、こんなTweetが多く見られます。私のTweetも一緒にどうぞ

https://twitter.com/meow_c0/status/1112009332206362624

以前、お局様は何故いなくならないのか?問題についてまとめた時にも書きましたが、日本の医療従事者の給与は以下の3つで算定されていると私は思っています。

①勤続年数(転職者の場合は、臨床経験年数で算定する病院が多い)
②労働時間(時間外手当、夜間労働時間=夜勤手当)
③役職・資格手当等

はい、皆さんお気づきですか?ここに「医療の質」は登場しません。
つまり、どんなに自己研鑽して勉強しても、給料には反映されないということなんです。これって変じゃないですか?

今回は、何故医療従事者の給与は医療の質では算定されないのか、について私の見解をまとめてみようと思います。

何故この問題が起こってしまうのか、最大の敵は「年功序列制度」だと思っています。そしてその年功序列制度を変えないのは、年功序列制度で得しているベテラン層だということです。政治家が高齢者に優遇される制度をマニュフェストとして掲げるのと一緒ですね。

私たちの給与がどうして頑張っても頑張っても上がらないのか、その仕組みについて今回は深堀していきます。

理由1 年功序列制度にすれば、給与算定が楽だから

私の病院は年に一回、昇給します。どんな人でも昇給します。

毎月1回は遅刻するあの人も、いつもヒヤリハット・事故を起こすあの人も、まんべんなく昇給します。

何故でしょう?

単純に、給与算定が楽だからだと思います。
「あなたは〇〇が原因で、病院の業務に支障をきたしているから、今年は昇給なしね」と評価する人員がいないからです。

病棟の師長だって、職員全員の行動を見ているわけではありません。
仕事をちゃんとしている人、してない人、見てないので判断できません。

経理だって、職員一人一人が経営にどのように寄与しているかなんて判断できません。何故なら、病院は職員一人がどのように経営へ貢献しているかが算定しにくいからです。医師だと少しは明確になるかもしれませんが(外来件数、手術件数、入院患者数など)、コメディカルとなると算定するにはかなり煩雑です。

「病院への貢献度を勤務評価に紐づけるのは難しい」という事実

では年功序列制度を辞めて、病院への貢献度で給与を算定しましょう、となった時に、どのようにすれば平等に算定できるか?となると、それもまた難しい問題だということが上記でお分かりになるかと思います。

評価する人が偏った見方(例えば自分に好意的な人は評価を上げるなど)をすれば、もちろんおかしなことになるのは目に見えて明らかです。

ただし、明らかに業務に支障をきたす行動をする人の給与を下げるというのは、出来るのではないかなと思います。

・遅刻する

・事故を頻回に繰り返す、改善が見られない

・報告・連絡・相談が出来ない

・病院の規則に逸脱した行動をする

出来るところから始めないと、ただただ仕事が出来ないお局様が量産されていきます。

理由2 結局病院は、医療従事者を数でしか見ていないから

病院には様々な加算を取るために、ある程度の人員配置をしなくてはなりません。

例えば一般病棟入院基本料として、看護職員数を7:1や10:1などで配置することで加算を得ることができます。

こうした「看護師を数で見る」という加算がある以上、病院は「どんな人でもいいから加算を維持するための人員を確保しなければならない」という状況にあります。

もちろん、その看護師全員がめちゃめちゃ意識が高くて倫理観のある人なら良いですが、実際はそうではないですよね。

やる気がある人、ない人、ただお金がもらえればいいと思ってる人、最低限のことをこなせればいいと思っている人…色んな人がいます。

しかし病院は、あくまで人員を数でしか見ていないので、ひとりひとりの力量の差までを見ていません。「あの人は良くないから、ここがダメだから」といってどんどん切り捨てていくと、加算が取れる人員以下になってしまいます。

2025年問題(団塊の世代が後期高齢者に突入する年)も見据えると、医療従事者の数は確保しておくに越したことはありません。

ここに質で評価します、仕事が出来ない人は給料を下げます、となると、適当に働いてきた人はそんな病院で働きたいと思う人はいなくなりますよね。

これは今まで質で評価してこなかったツケが回ってきたとしか言いようがありませんが、質が低い人も雇用していかないと、病院として成り立たないという現実が今の日本医療にはあるのです。

「病院経営は加算を維持する事が大前提である」という事実

病院経営は、大変苦しい時代になってきています。私が働く病院でも、病床稼働率が著しく低下し、躍起になって色んな試作を繰り返しています。

そんな病院が多い中、加算というのは病院経営において非常に重きを置いているものの1つです。ひとつひとつの加算は小さくても、入院患者全体でとらえると非常に大きな収益につながります。

〇〇という資格を持っている人が、××という活動をすると何点
入院患者に対し、看護師を何人配置すると何点

こういうものの繰り返しです。

加算に影響しない「個々の医療の質」なんかは、後回しにされて当然です。

病院は加算を維持するのに必死
日本は医療費を削減するのに必死

では医療者は・・・?
なんだか置き去りにされている感じが否めませんね。

理由3 質を正しく評価出来る人や機関、ツールがないから

「やっぱり日本の医療を世界的に最先端にするには、医療の質を上げていくしかない!」
「私たちは医療の質で給与を算定しますよ!」

という時代になったとします。

ではその「医療の質」って誰が算定するんでしょう?

病院でしょうか
学会でしょうか
日本でしょうか

ここにきて、「正しく医療の質を算定する人が本当にいるのだろうか?」という問題に直面します。

「〇〇学会認定資格はただの学会へのお布施でしかない」という事実

最近、各医学会が認定する資格が急速に増えていますよね。

オペナース界隈だと、周術期管理チーム認定制度という資格があるんですが、この認定を取るためには様々なお金がかかります。「学会に加入して、セミナーに参加し、試験を受けて、資格を維持するためにまたお金を払って」という自費がかかるのに対し、当院ではこの資格を保有したことによる資格手当は0円です。

もう一度言います。資格手当は0円です。資格取得に対する補助も0円です。

要は、資格を取るために勉強し、セミナーに参拝して、お金を払えばもらえる資格と言うことです。

果たして、この資格を有していれば医療の質が高いと言えるでしょうか?

私は違うと思います。これはただ学会を維持するためのお金儲けのツールの一つにしかなっていません。

「現場において質を評価するツールがない」という事実

私は日本の医療に疑問を持ち始めた時、海外の看護師事情が書かれているブログに出会い、衝撃を受けました。そのブログには、こんなことが書いてありました。

たとえば、救急看護師なら

心電図を取って、医師に見せるまでの時間

1時間あたりに診ている救急患者の数

ヒヤリハットや転倒・転落の件数など

すべて個人の成績として数値で示しています。

(中略)

病棟のプライマリー看護師は

退院後の満足度アンケートで85点以上

受け持ち患者の2週間以内の再入院率

他のスタッフからの360°評価

などで、給料が変動していきます。

引用:NEW NURSING 看護師の評価と給料より

海外では、こんなにも多角的に医療の質を評価しているんだという事実に愕然としました。そして、いつまで日本は年功序列なんてお粗末なシステムのままなんだろう、と呆れました。

日本ではこのように、人を客観的視点と数値において評価するというシステムが確立されていません。

私はこの海外のシステムをそのまま流用すればいいのではないかと思いますが、「他人と比較することを極端に恐れる日本人」という人種が、そのまま使えるかどうかは疑問が残るところです。

日本もどんどん実力社会になってきています。そろそろ変革してもいい時期なんじゃないでしょうか?ねえ、日本医師会の皆さん、日本看護協会の皆さん、厚生労働省の皆さん。

まとめ

今回は、何故日本では医療の質で給料を算定されないのか、という問題について掘り下げてみました。

年功序列制度にすれば、給与算定が楽だから
「病院への貢献度を勤務評価に紐づけるのは難しい」という事実
結局病院は、医療従事者を数でしか見ていないから
「病院経営は加算を維持する事が大前提である」という事実
質を正しく評価出来る人や機関、ツールがないから
「〇〇学会認定資格はただの学会へのお布施でしかない」という事実
「現場において質を評価するツールがない」という事実

この問題を解決するには、一筋縄ではいかないことがわかりましたね。
しかし、嘆いているばかりでは何も変わりません。

問題がわかったら、今度は解決するにはまず何をしたらいいのかを考えていけるということです。

このブログでは、このような「日本医療の何故?」について、様々な視点から言及していきたいと思います。このお局様問題に代表されるような悪しき慣習から、日本医療を変える方法を模索していきます。

もしこの記事に共感された方がいらっしゃれば、Twitter(@sakurako_ope)のフォローよろしくお願いします^^

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