
Twitterでは看護師さんや放射線技師さん、臨床工学技士さん、お医者さんなど、様々な医療従事者の方と一緒に、日本の医療はどうしたらよくなるのか?についてディスカッションしています。
今回は、3年目以降の中堅層になると訪れる、「そろそろあなたもプリセプター」問題です。
皆さんはプリセプター、経験しましたか?
最近ではプリセプター制度からPNS制度にシフトする病院も多いと思いますが、基本的な考え方は一緒です。
「来年はプリセプター、あなたにお願いするね」と言われて、不安じゃない人はいないと思います。Twitterでも、こんな意見が多く聞かれました。
今日から3年目だ〜😫
プリセプターとか不安しかないけど自分も成長出来ると思って頑張らねば🙋♀️— NANOKO (@nano9325) April 1, 2019
来年度からプリセプター。
5年目にして初のプリセプター。
不安とめんどくささ。— かにシエ (@ayakanaeri) March 25, 2019
プリセプターって、色んな不安が付きまとうものです。
「嫌われたらどうしよう?」
「扱いづらい子が来たらどうしよう?」
「まだ自分も未熟なのに、教えられるのだろうか?」
色んな不安がある中、皆さんはどうしてこんなにも不安だと感じていると思いますか?
実は、プリセプターを任されるということは、指導を担うということですが、この指導が問題なんです。そう私たちは、後輩の指導方法を教えてもらっていないんです!
教えてもらっていないことを、いきなり「一人でやって」と言われて、自信満々にできる人なんて一人もいません。
ではどうして、後輩の指導方法を教えられることなくプリセプターになるんでしょう?
この記事では、どうしてプリセプターになる事への漠然とした不安が起こるのか、について順を追って解説していきます。
ある日突然任命される恐怖!新人看護師の「プリセプター」
プリセプターを任される時期は、その部署・病院によってさまざまだと思います。大概は2~3年目の頃に、「来年度はプリセプターをお願いね」と言われることが多いようです。
プリセプター、みなさんはどんなイメージを持っていますか?
自分のプリセプターだった人のことを思い描くことが多いかもしれませんね。
プリセプターが嫌いだった人は「自分は嫌われたくないなぁ」と思うでしょうし、プリセプターが好きだった人は「あの人みたいに上手に教えられるか不安」と思うかもしれません。
とにかく、何の心構えもなくいきなり「プリセプターお願いね」と言われる恐怖は、皆さん体験すると思います。
どんな新人看護師の担当になるか、来るまでわからない恐怖!
そんな不安を抱えているあなたは、プリセプティがどんな子なのか気になるはずです。
「反応が薄い子だったらどうしよう」
「年上だったらどうしよう」
「何度説明しても出来ない子だったらどうしよう」
プリセプターとプリセプティ、相性っていうのは必ずあります。
ただし、その相性を見極めてからペアを組むという病院は少ないと思います。
ここにも不安の大きな理由がありますよね。
相性についてはまた別記事にて紹介しますので、そちらを参照していただければ少しは不安を解消することができます。
大事なのは、相手を理解することです。自分のやりやすい方法を押し付けるだけでは、相互理解はできません。ゆっくり相手を理解しようという気持ちがとても大事です。なぜなら、指導の基本はコミュニケーションだからです。
後輩の指導方法って、誰かに教えてもらいました?
皆さんが抱える漠然とした不安。どこから来ているのか、ズバリ言いましょう。
指導方法の正解を教えてもらっていないからです。
そして、誰も指導法を教えてくれないからです。
「プリセプターお願いね」と言われてから実際にプリセプターになるまで、指導方法を教えてもらったことがあるでしょうか?
おそらく「ノー」だと思います。
そこには、看護業界特有の、とある慣習があります。それは「自分が実施できることは教えることも出来るはず」という経験則からの判断です。
自分がやるのと、教えるのとはわけが違う
「教える」って、実はとても奥が深い行為です。
でも看護業界では、独り立ちしていれば教えることが出来る、と判断しがちです。
「大丈夫、見ててくれればいいから」とか「ちょっと新人さんと一緒にオペ出し行ってくれない?大丈夫、あなたなら出来るから!」など、根拠のない勇気づけをされて、渋々フォローに入ることも良くある場面です。
こうして、看護業界では教えるという行為をないがしろにしてきました。
その結果、教える側も、教えられる側も、双方疲弊するという状況になったのです。
人は教えられたようにしか教えられないの弊害
良く、虐待されて育った子供は虐待をしてしまう、などと言いますよね。
看護業界においても、それが繰り返されてきた歴史があります。
厳しいプリセプターに育てられた子は、その指導方法しか知らないので、プリセプターになった時に厳しい指導をしてしまう。
それは何故か?正しい指導方法を、教育の基本を教えてもらっていないからです。
正しい指導方法さえ身に着けることが出来れば、私たちはもっと楽しく指導が出来るはずです。
だから、うまく指導が出来なかったとしても自分を責めないでください。
教えてもらっていないことを、出来るはずがないんです。
プリセプター研修は具体的な指導方法を教えてくれない!
プリセプター研修って、受けましたか?
次年度からプリセプターを担う人は、これからあるかもしれませんね。
このプリセプター研修…私は全然指導に役に立ってる感じがしませんでした。
皆さんの病院はどうでしたか?
概念だけ教えてもらっても、指導なんてできるはずがない!
こういう研修は、抽象的な概念だけを教えてくれることが多く、具体性に欠ける部分があります。
大概は、「教育は屋根瓦式になっていて…」とか、「プリセプターは新人の心の支えになる立場の人です」とか、そういう抽象的な話が多いかと思います。
私の病院の場合は、グループワークで「今不安に思っている事」と「理想のプリセプター像」を共有します。その結果、得られる意見は「みんな不安だから、私も頑張ろうと思います!」という、何も知識が得られない答えばかり。
当たり前ですよね。だって研修の中では具体的な教育方法を身に着けられないんですもの…。
こういう意味のない研修を受けさせ、プリセプターになる心づもりだけさせて「じゃあ後はよろしくね!」と言われれば、そりゃあ誰でも不安になります。
新人看護職員研修ガイドラインがあるって知ってますか?
こういう現場の教育により、看護離職率が問題になっています。
そこで厚労省は、新しくガイドラインを作ることにしました。
それがこの新人看護職員研修ガイドラインです。
もちろん、残念ながらこのガイドラインは概念的なことが多く書いてあります。具体的にどう指導するのか?と言うことは書いていません。
でも、プリセプターの役割はどこまでなのか、新人にはどこまでを期待していいのか、について、はっきり明記されています。
このガイドラインが作られたことによって、新人看護職員は卒後1年をかけて一人までに育てるという病院の努力義務が課せられました。
どこまで育てたらいいのか?の目標を知ることは、プリセプターにとってとても有意義なことだと思います。
どうしてこのガイドラインが作られたのか、については別記事にしていますので、良かったら読んで見てください。
指導方法は結局、自分で身に着けるしかない!
不安なまま指導するのは精神衛生上、とてもよろしくありません。
しかし、部署や病院で具体的な指導方法を教えてくれない以上、自力でどうにかするしか方法はないと思います。
私のお勧めは、1冊でもいいから教育の本を読むことです。
1冊読むだけで、「正しい」の指標が出来ます。
このブログ内でも、今後教育に関する記事をどんどんアップする予定ですので、そちらも参考にしていただけると、より不安が解消されると思います!
まとめ
今回は、プリセプターを任せられた看護師は何故不安なのか?についてまとめました。
・そもそも指導方法を教えてくれない
・指導の正解がわからない
・プリセプティとの相性が合わないかもしれない不安
・プリセプター研修では概念しか教えてくれない
・結局不安を解消するには、教育について勉強するしかない
こんな状況の中、不安なくプリセプターしてって言われても無理な話ですよね?
この記事を読んで、自分がどうして不安なのか、理解できたのではないのでしょうか。
このブログでは、この記事のほかにも看護教育についてや日本医療の闇について、色々書いています。もし参考になったな!もっと知りたいな!と思ったら、是非Twitter(@sakurako_ope)の方も見てみてください^^
この記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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