私たちは生まれて今までの間に、様々な固定概念を形成して育ってきました。
特に自分や他人の性格については、人に言われたり、自分でも思ったりすることで強く強く心に根付いていきます。
「あなたはこういう性格だよね」
「あの子はいつもあれをやらないから、仕事出来ない人」
「そんな顔して、どうせこんなこと、くだらないと思ってるんでしょ?」
しかし、この固定概念が新人と向き合った時に大きな壁になり、教育の邪魔になることがあります。
「あの人ははこういう人だから」と決めつけるのではなく、自分の考え方を一回取っ払ってみる。そうすることで、相手のことをより理解できるようになります。
固定概念を捨てるシリーズ、2回目はこちらのテーマです。
教育される側は、一度ネガティブなレッテルを貼られてしまうと「教えてもらえない」「指摘してもらえない」「邪険に扱われる」という悲しい運命をたどります。
この記事では、「あの子はこういう人だから」という決めつけや、「いつも不機嫌そうな顔をしているからやる気がない」など、見た目に騙されずに教育を進める方法について解説します。
この記事を読めば、そういった色眼鏡で教育される人を見てしまう、私たちの傾向と対策がわかります。
諦める教育から、一歩進んだ教育へ。
一緒に学んでいきましょう。
「あの人(新人)はこうだから」という決めつけを取り払う方法
日本人は特に、人をカテゴライズするのが大好きです。そのような決めつけによる弊害を取り払うと、様々なメリットがあります。
今回は、その決めつけを取り払う方法をご紹介します。
方法1 レッテルに騙されない
方法2 見た目に騙されない
方法3 噂に騙されない
1つずつ解説していきますね。
方法1 レッテルに騙されない
「この人はああだから」と決めつけることによって、諦めたり、逆に過剰評価することがあります。しかしその評価と実際に差異があり、後後になって問題が生じることがあります。
日本人は特に、人をカテゴライズするのが大好きです。
血液型がA型だから几帳面
大学卒だから頭が固い
こういった、今までの経歴から見た相手の捉え方を面白がってすること、ありますよね。
更に、関わりの中でその人の性格を捉えていくこともあると思います。
「あの子は入職して早々に事故を起こしたから、注意力が散漫だ」
「いつも出勤時間ギリギリに来て、やる気がない」
職場の慣習で物事をはかるのも問題ですが、このように人は他人に対して様々なレッテルを付けます。
この固定概念が、様々な障害を引き起こします。
私がSNS上で聞いた「やる気がない(ように見える)」とレッテルを貼られた新人の話を紹介します。
彼女は新人1年目。プリセプターにこう言われたそうです。
「あなたはいつも、言われたことしかできないよね」
「全然やる気が感じられないし、あなたと一緒にいるとイライラする」
「いつも不機嫌そうな顔している」
新人さんはこんなこと言われても、どうしようもありませんよね?
このプリセプターは、新人さんの表情を見て「やる気がない」と判断しています。
新人さんにとっては、日々の業務をこなすのが精いっぱいなのに「言われたことしかできないのはやる気がない証拠」と言われてしまいました。
このような最低な発言をしたプリセプターですが、このようにレッテルを新人に貼ることにより、自分の思考が狭くなっていることに気づいていません。
レッテルを一度貼ってしまうと相手の全ての行動や言動が、あたかも全てが繋がったかのような錯覚を覚えます。
「あの時に報告してこなかったのは、やる気がないからだ」
「ちゃんと勉強してこなかったのは、やる気がないからだ」
「レポートの提出が遅れたのは、やる気がないからだ」
レッテルを貼ると、視野が急に狭くなります。
一度、自分は新人に対してレッテルを貼っていないか、確認してみてください。
レッテルには、良いものを含みます。「あの子はしっかりしているから大丈夫」と早い段階で評価されると、思わぬところで落とし穴がある事があります。
レッテルを打破するには、観察とコミュニケーションです。「どうしてこうしたのか?」の気持ちを常に持っていれば、自ずと視野は広がるでしょう。
方法2 見た目に騙されない
人が受け取れる情報は、見た目が9割と言われています。
それ故、人は見た目の情報に騙されやすい傾向にあるのです。
つまり、同じ話の内容だったとしても、見た目が違えば受け取り方が大きく変わってきます。
以下の内訳を見れば、人はどれだけ「話の内容を聞いていないか」がわかると思います。
・言語情報(話の内容) 7%
・聴覚情報(口調、話の早さ)38%
・視覚情報(表情、身振り手振り)55%
言語情報のことを言語的(バーバル)コミュニケーション、聴覚・視覚情報のことを非言語的(ノンバーバル)コミュニケーションと言います。
私たち教育をする者は、この非言語的(ノンバーバル)コミュニケーションを巧みに使いつつ、非言語的コミュニケーションによる情報に騙されないようにするのが務めです。
方法1で上げた、プリセプターの例をまた思い出してください。
「いつも不機嫌そうな顔している」
これは相手から受け取った、視覚情報です。
しかしこの不機嫌そうな顔は果たして、本当に不機嫌だからそういう顔をしているのでしょうか?
不機嫌そうな顔をしていたら、やる気がないのでしょうか?
よく指導者で「あの人は、反省は口だけで、全然反省している顔をしていない」と憤慨している人がいます。
相手とのコミュニケーションの中で、言語的・非言語的コミュニケーションが一致していない人の場合、「嘘をついている」と誤解されてしまいます。もちろんこれは、医療職として働く上で直していかなければならない部分だと思います。患者や家族に誤解されかねないからです。
しかし、教育者はそこに憤らず、外見に騙されない努力をするべきだと私は思います。
新人さんは、どうしても緊張から表情が硬くなります。
先輩と話をする時は、緊張するんです。そういうものです。
外見や表情に騙されないよう、指導者は新人から本音を引き出す必要があります。
「どうしてそう思ったの?」「次からはどこを気を付けようと思うの?」とやり取りをする中で、非言語的コミュニケーションからは捉えきれない本音を聞き出すのです。
中には非常に表情豊かで、全然わかってないのに「わかりました!」と適当に相槌をする新人もいます。
私たち看護師は、非言語的コミュニケーションに騙されることなく、相手(患者)の本当の気持ちを見抜く力が必要です。教育も同じことが言えます。」
方法3 噂に騙されない
「新人が、こんなことをやらかしたらしい」という噂に騙されないようにしましょう。
看護師は女性社会なので、噂話がよく飛び交います。
数日前に話した内容が、別の部署の多職種の人から「あなた、〇なんだって?」と聞かれることなど日常茶飯事です。
そんな中、根も葉もない噂話により、新人が傷つくことなどあってはなりません。
新人の良くない噂話が飛んで来たら、「今度聞いて確認してみますね」と大人な対応をしましょう。そこであなた自身も「ありえない。今年の新人やばいですね」なんて言ったもんなら、次の日には新人の耳に入っていると思った方がいいです。
噂話は、あくまでも噂話。
真実は、本人に聞かなければわかりません。
「こんな話を聞いたんだけど、実際はどうだったのかな?」など、相手から真実を聞きたいという姿勢で聞いてみましょう。
その際に「その話を聞いて自分はどう思ったのか」という感情をセットで合わせる必要はありません。
例えばどういうものかというと、「残念に思った」「がっかりした」「ありえないと思った」などのネガティブな感情です。
新人さんに寄り添い、「心配した」「素敵だなと思った」「嬉しかった」などのポジティブな言葉を付け加えるのは問題ありませんが、あまり過剰にやりすぎると新人さんにとってプレッシャーになります。
大事なのは「事実はどうだったのか」を、噂話に惑わされずに突き止めることです。
まとめ
今回は、「あの人(新人)はこういう人だから」という決めつけを取り払う方法をご紹介しました。
方法1 レッテルに騙されない
方法2 見た目に騙されない
方法3 噂に騙されない
日本人は、人をラベリングするのが大好きです。島国特有の気質だと思います。
狭い環境の中で人を定義づければ、わかりやすいからです。
しかし、教育をする私たちは、そのラベリングに騙されてはいけません。
常に物事の本質を見極めて、適切な指導が出来る人になりましょう。
最初は難しいかもしれません。
誰でも最初はあります。経験していく中で、出来るようになっていきます。
この記事に書かれていることも、最初は出来なくても、数を重ねていくことで上手になりますよ!
このサイトでは、指導者が辛くならないための看護師の育成についてまとめています。
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一緒に楽しく、教育について学びましょう^^
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