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看護学生「手術室看護師になりたいのですが、就職先で迷っています」

さくらこのお悩み相談室(Q&A)

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ケース9 看護学生「手術室看護師になりたいのですが、就職先で迷っています」

こちらは、「さくらこのお悩み相談室」の投書箱に頂いたご相談です。

和戸さんからのお悩み相談

就職先で迷っています。昨年の夏にインターンシップに参加した病院は1箇所しかなく、1年目から手術室に配属となることも可能な中規模病院で、看護師の募集人数は60~70名程度です。手術室で働く看護師の方達の雰囲気がとても良かったことが印象的でした。しかし規模やオペ件数を考えると手術室看護師として成長できるかどうか不安があります。

1年目から手術室で働きたいので、他にも候補はあったのですが、春に行こうと思っていた都心にある大学病院もインターンシップも中止になり、果たしてどうしようかと思っています。手術室看護師になるにはどのようなことを重視して就職活動をしていけばいいのでしょうか?東京、千葉、神奈川、関西でおすすめの病院があれば教えていただきたいです。

(学生/看護大学4年生/20代)

さくらこからの回答

さくらこ先輩
さくらこ

最近、新卒で手術室看護師になりたい、興味が有るから転職したいという相談をたびたび受けます。手術室に興味を持ってくれる看護学生・看護師が多いことにびっくりしていますが、憧れがある方は多いのはとても嬉しいです。

看護学生さん初めまして。この度はご質問ありがとうございます。

手術室看護師に興味が有るんですね。私は「たまたま」手術室看護師になった人なので、手術室看護が最近徐々に浸透してきたことに、感銘を受けています。本当に、びっくりです。

さて、手術室の就職先をどうやって決めるか、というご相談でしたね。

まずざっくり捉えるべきは、病院の規模(病床数)、救急の受け入れ、救急科が独立してあるかどうか、総合病院or単科病院、年間手術数、手術室看護師スタッフ数、勤務体制、看護部の教育体制、ローテーション、手術室認定看護師の有無、などがあるかと思います。

自分がもし手術室看護師としてバリバリ働いていきたい、資格(手術室認定看護師、周術期管理チーム、特定行為研修など)を取るのを前提に経験値を稼ぎたいと思う場合の病院の選び方について、私の私見をまとめます。なお、私は転職したことがない(一度も退職したことがない)ので、実際の入職活動の情報(新卒の時に行った就職活動)は全く役に立たないので割愛します。

 

病院の規模、病床数、診療科、年間手術件数

経験を増やしたいなら、病院の規模は大きい方がもちろん色んな経験が出来ます。

総合病院は様々な患者が来ますし、単科病院では断られた(内科的疾患を合併しているなど)患者さんを多く受け入れています。手術リスクの高い方や、術後の内科フォローが必要な人、精神疾患を合併している人など、色んな患者層を経験することが出来るでしょう。

また診療科が多ければ、様々な種類の手術を経験することが出来るかと思います。

自分がどの診療科に興味が有るのか、どんな手術を経験してみたいのかを第一に置いて、病院のHPなどに掲載されている手術件数を参考にされると良いと思います。

診療科によっては、病院として受け入れていますよと書かれていても、実際は1年に数件しか手術がないという場合もあります。

人工心肺を回すような心臓血管外科手術は、割と手術室看護師を目指す人の憧れ的な存在かと思いますが、病院によってはやっていないこともあります。

とにかく色々な診療科の手術を経験したいとなれば、どんな手術でもやっているような病院が良いと思います。私が思いつく診療科としては、消化器外科、胸部外科、乳腺外科、整形外科、泌尿器科、眼科、産婦人科、脳神経外科、耳鼻科、心臓血管外科、形成外科、などが該当する科に当たると思います。

小児外科(小児外科医が様々な種類の手術を行う)は本当に限られた病院でしかやっていないので、先天性疾患を治療する小児外科に憧れがあるなら慎重に病院を選んだほうが良いと思います。ただし小児外科医が手術をする病院は限られますが、一般的な小児疾患(鼠経ヘルニア、扁桃腺炎、鼓膜チュービング、虫垂炎など)は、小児科病棟がある総合病院ならば、それぞれの診療科が手術を行います。新生児(月齢1か月未満)等の先天性疾患の手術は、普通の総合病院ではやることはほぼありません。

単科の病院は、その診療科のスペシャリスト(資格ではない)にはなれますが、経験値で言えば総合病院にはかないません。また、単科病院はほぼ民間の病院になりますので、教育体制もまばらです。

救急の受け入れ体制、救急科の有無

2次救急、3次救急があるかどうかによって、臨時手術・緊急手術の受け入れの有無が変わります。救急の受け入れがあるということは、夜間の呼び出しが多いということです。

ただし、3次救急を受け入れている病院によっては、手術室と救急科が独立しており、緊急手術は救急科で行い、手術室では定期手術のみを行うという病院もあるみたいです(聞いた話なので、実際にどう役割分担しているのかはわかりかねます)

緊急手術をバンバン受け入れているような病院で働きたいなら、その病院がどんな救急を受け入れているのか、救急車の受け入れ台数などを調べると良いと思います。

緊急手術で代表されるのは、大動脈解離、大動脈瘤破裂・切迫破裂、急性心筋梗塞、抹消動脈閉塞・狭窄、脳動脈瘤、脳出血、緊急帝王切開、卵巣腫瘍の茎捻転、子宮外妊娠、虫垂炎、消化管穿孔、腸閉塞、尿結石などによる水腎症、などです(今思いつくものを上げました)。

3次救急を行っている病院なら、多発外傷(交通外傷、転落など)、重度熱傷などを受け入れていると思います(調べてみたら、大動脈解離も3次に分類されていましたが、2次救急を受け入れている当院でも普通に手術しています)

教育体制、ローテーション

教育体制や、そこに所属する看護師の人柄なんかはかなり重要です。

手術室で働く看護師の方達の雰囲気がとても良かったことが印象的でした

むしろ、人間関係が良ければそれだけでオッケーだと思います。それくらい重要です。

今の看護教育は大まかに「プリセプターシップ」と「PNS」が主流になってきています。手術室ではPNSといってもほぼプリセプターシップと変わらないので、あまり気にしなくてよいかと思います。なぜなら、手術室は看護師1人で手術を受け入れるということがほぼないからです。

手術室の看護スタッフの経験層がベテラン層・中堅層・若年層で揃っているなら、そこの病院は割と当たりだと思います。逆にベテラン層・若年層だけで中堅層がぽっかりいない病院は、ベテラン層の力が強い可能性があります。

病院によっては、手術室看護師をあえてローテーションに出さず、辞めたら新人で補填をくりかえし、結果的にベテラン層と若年層で構成されてしまっている場合があります。悪いとは言いませんが、ベテラン層(特に50代以降)の方が多くいる病院は、古き良きエビデンスなき言い伝え(もちろん嫌味です)を守っているような病院の可能性があり、注意が必要です。

全ての年齢層がそろっており、中堅層・若年層が伸び伸びと仕事が出来ているような病院が理想です。

また、手術室看護師として経験を積んでいきたいと思っているなら、ずっと手術室にいられると思わない方が良いです。スペシャリスト(資格保有者)になりたいのか、ジェネラリスト(管理職)になりたいのかによって異なりますが、病院によっては「そろそろ病棟も経験したらどう?」と打診されることも少なくありません。そうなった時に、自分がやりたい手術室看護とかけ離れた病棟に行くことが耐えられず、辞めていく看護師を多く見てきました。病棟に行ってと言われたら自分はどのように身の振り方をするのか、ある程度考えておく必要があります。そんな時に、手術室に特化した資格を持っていれば、病棟に飛ばされる確率が低くなります。もしくはステップアップを見据えて転職するのも良いと思います。どこの病院も経験のある手術室スタッフを渇望しているので、転職に困ることはあまりないかと思います。

手術室教育体制は、病棟と比べて割と熱心なことが多い印象です。手術室看護師は手術室看護が割と大好きなので、色んなことを教えてくれます。ただ閉鎖的な空間なので、見えない部分で陰湿ないじめが有ったり、大口叩いて仕事しない先輩がいたりするのは、どこの病院も一緒です。

勤務体制、給与面

夜勤制(看護師が泊まり込みする)、拘束勤務制(いわゆるオンコール)のおおまかに二つあります。夜勤制の場合は、夜間の手術が無ければ病棟や救急にリリーフに行ったり、手術室内の環境整備をしたりなど様々です。拘束勤務の場合は、手術があると電話で呼び出しがあり出勤するというシステムです。拘束勤務の手当てがある病院とない病院があり注意です。

また危険手当や資格手当なども、ある病院とない病院があります。

基本的に手術室は病棟に比べて夜勤回数が極端に少ないため、給与は病棟看護師よりも少ないことが多いです。ただし、呼び出し回数が多かったり時間外勤務が多いとその月だけ給与が跳ね上がることもあります。

手術室のスタッフの数が多い病院は、平均待機・夜勤回数をスタッフ数で割るので一人当たりの回数が減り、給与は少ない可能性があります。逆にスタッフ数が少ない病院は、少ないスタッフで待機を回しているため、呼び出しが無くても給与が多めと言う場合もあります(もちろんその分、呼び出される可能性も高くなります)。

夜間呼び出されたスタッフの、次の日の勤務の扱いについては病院によって様々です。うちの病院は、夜間呼び出しによる次の日の休務は公休ではなく有給扱いです。拘束勤務は通常の勤務にプラスして付けられるため、土日の呼び出しがあっても、代わりの代休はありません(私の病院の場合)。その代わり、勤務した時間分の時間外手当を請求できます。ようは、時間をお金で買っているのです。

手術室認定看護師

すでに手術室認定看護師がいる病院ならば、知識レベルはある程度保たれていると考えてよいと思います。ただし、手術室看護学会に入りなさい、セミナーに参加しなさいという圧は高いかもしれません(笑)

手術室認定看護師は、病院として所属しているからと言ってメリット(何か加算がつくなど)は現状何もないので、「そろそろ認定とらないの?」という圧も、特段ありません。

参考リンク:認定看護師・専門看護師による診療報酬の算定と配置要件(日本看護協会)

ですので自分が認定を取りたいと思った場合は、自費で大学院に通うことになり、病院からお金が出るとか、通学中の給与がもらえるとか、そういうことは期待しない方が良いです。手術室認定看護師の資格は、残念ながら現状はその程度の資格です。どちらかと言うと、周術期管理チームの方が今は期待されている資格です。


ここまで病院を選ぶ上で気にすべき項目をまとめました。

東京、千葉、神奈川、関西でおすすめの病院があれば教えていただきたいです。

すみません、私は関東圏に在住していないため、そちらの病院に関しての知識はありません。病院口コミサイト等をご利用されると良いかと思います。

 

さくらこ先輩
さくらこ

最後に、さくらこ から 和戸さんへ

この度は、質問箱に投書をありがとうございました。

手術室看護師に興味を持った看護学生さんが増えているような気がします。ドラマなどの影響もあるかもしれませんが、手術室に見学しに行った時の雰囲気が良かった、と言う話も良く聞き、嬉しく思っている今日この頃です。

雰囲気がいいな、と思える職場はなかなか見つからないですし、内部事情は働いた人しかわかりません。

現在の看護師の転職事情は、いまだ転職ガチャだと私は思っていますが、和戸さんが良い職場に巡り合えるよう、私も願っています。

さくらこ


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