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プリセプター「メンタル疾患を抱えながら、プリセプターをするのが不安です」

さくらこのお悩み相談室(Q&A)

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ケース2 新人教育者(プリセプター) 「メンタル疾患を抱えながら、プリセプターをするのが不安です」

こちらは、「さくらこのお悩み相談室」の投書箱に頂いたご相談です。

かおるこさんからのご相談

メンタルの問題を抱えながら仕事をしています。もちろん仕事は出来ているので軽症の部類であるとは思いますが、具体的には社交不安障害です。ここ2年くらいで発覚しました。

2年前に初めてのプリセプターを任されました。その1年前に初めての妊娠、そして流産を経験し、精神的な落ち込みから、あらゆるプレッシャーに負けて表面化してしまいプリセプター業務開始から半年が経った頃、半年ほど休職してしまいました。もともと負けず嫌いや人の目を気にする性格もあり新年度までには復職することができましたが、それ以来働かないと生きて行けないという思いのもと、時には無理をすることもありますが、人前では普通に振る舞いたい気持ちで以前と変わらず働いています。

復職してからは、他者より仕事の要領が悪い点、他者との会話が苦痛に感じていること、考えるスピードが遅くなっていることなど、様々な問題が自分の中で大きくなっています。

今年度から再びプリセプターを担当することになりました。慣れていない人と関わるということや業務が増えることで、再び体調を崩すのではないかなどと考えてしまいます。ですが、普通に仕事がしたい、プリセプターを頑張りたい、という前向きな気持ちもあります。現在は、軽い抗不安薬を内服しています、上司の理解もあります

新人に迷惑をかけずに1年過ごせればと思いますが、どういうことに気をつけて働いていけばいいでしょうか。

(かおるこさん/新人教育者(プリセプター)/看護師6年目/28歳)

さくらこからの回答

さくらこ先輩
さくらこ

かおるこさんの性格や現状を考えると、プリセプターを一年乗り切るには様々な観点から見たアドバイスが必要だと感じました。焦らずに、ひとつずつ乗り越えていきましょう。

この方が抱える背景を考えると、様々な観点から見たアドバイスの必要があると思いましたので、段落に分けて回答していきます。

アドバイスの要点は以下の5点です。

①プリセプターの仕事を一人で抱え込もうとしない

②自分の気持ちと向き合う時間を定期的に作る

③新人と自分のネガティブな気持ちを同調させないように気を付ける

④無理して「理想の先輩」を演じようとしなくても大丈夫

⑤無理して「新人看護師の友達」になろうとしなくても大丈夫

 

 

①プリセプターの仕事を一人で抱え込もうとしない

お悩みの内容の中にあった、このフレーズが特に気になりました。

もともと負けず嫌いや人の目を気にする性格もあり新年度までには復職することができましたが、それ以来働かないと生きて行けないという思いのもと、時には無理をすることもありますが、人前では普通に振る舞いたい気持ちで以前と変わらず働いています。

この中からわかる質問者かおるこさんの特徴は、「与えられた仕事は、きちんと自分で全うしたい」という性格を感じました。

自分の中では精神的不安を自覚しつつも、それを周りには悟られたくない、無理をしてでも仕事をやり通したいという強い信念もあるのではないかと思います。

要は、とても責任感が強く、完璧に仕事をこなしたいタイプの人ではないでしょうか。

 

こういう方の場合、自分ひとりでプリセプターの仕事を全うしたいという気持ちが強いせいで、問題を一人で抱え込んで潰れてしまう可能性があります。

プリセプターは様々な理由から、とてもストレスフルな仕事の一つです。
メンタル疾患を抱えていなくても、強い不安を感じます。

そもそも新人教育は、プリセプター1人で抱え込むものではなく、部署全体で取り組むものです。

幸いなことにかおるこさんの部署では上司の理解があるようなので、行き詰った時には一人でどうにかしようと悩まずに、是非上司などのリソースを活用してください。

特にかおるこさんの持つ社交不安障害(かおるこさんの場合は、慣れていない人と関わるのが不安?)だと、来たばかりの新人看護師と関わることが負担に感じることもあるでしょう。

新人看護師のキャラクターにもよるかもしれませんが、うまくコミュニケーションを取れなかったり、価値観が大きく違ったりすると、メンタル的にも過度な負担になってしまう可能性があります。

かおるこさんの性格上、「与えられた仕事を一人で完璧にこなしたい」と思って、なんとか一人で解決できる方法はないだろうかと思い悩んでしまう絵が私には見えます。

「与えられた仕事を1人で頑張る、やり切る」のは、一見素晴らしいもののように見えます。

しかしそれを無理にやりきろうとすることにより、かおるこさんがまたメンタル的に落ち込んでしまう犠牲を払ってまでこなす仕事ではありません。

理想は「様々な人の手を借りながら、かおるこさんがメンタル的に落ち着いた状態でプリセプターの一年を乗り切ること」です。

 

②自分の気持ちと向き合う時間を定期的に作る

かおるこさんは、自分でも自覚している通り負けず嫌いで、他人から良く思われたい、普通に仕事をこなしていると思われたい、と言う気持ちが人一倍強い人なのではないかと思います。

「自分はまだ大丈夫」「まだやれる」と自分をだましながら、仕事をしていませんか?

自分を鼓舞するため、自分で自分をだまし始めると、どこかで歪みが生じていきます。
そして自分で自分をだませなくなった時、「もうだめかもしれない」と感じるのではないかと思っています(あくまでも個人的な意見です)

現状、かおるこさんは自分の気持ちを客観的に評価できていると、このお悩みの内容を読んで私は判断しました。

しかし人は、何かにのめりこむと自分の気持ちがわからなくなっていきます。

なんで辛いのか、本当にこれは辛いのか、仕事が辛いのか、プリセプターが辛いのか…。

このようなドツボに入る前に「自分は今どんな気持ち?」と確認することが必要だと、私は思っています。

言葉で言うのは簡単ですが、実際は難しいです。私も思考のループに良くはまるのでわかります。そしておそらく性格も、かおるこさんと私は似ていると思います。

オススメなのは、自分の本心を打ち明けられる人に話すことです。誰でもいいです。
出来れば、「こうしたらいい」「ああしたらいい」とアドバイスをくれるような人ではなく、黙ってうんうんと共感してくれるような人の方が良いです。

大事なのは辛さで潰れてしまう前に、自分を客観視できる心の余裕を維持することです。

 

③新人と自分のネガティブな気持ちを同調させないように気を付ける

ネガティブな感情は伝染します。

新人看護師特有の辛さに同調しすぎないように気を付けてください。

1年目はどうしても「学校と臨床のギャップ」や「職業人として働くことへの不慣れさ」「患者やスタッフとの人間関係」などから、環境の変化についていけず落ち込みやすい状況にあります。

新人看護師に親身になりすぎると、そのネガティブな感情に引きずられやすくなります。

新人看護師とプリセプターの距離感は、近すぎず遠すぎずがちょうどいい距離です。

私は私、あなたはあなた、という一定の距離感を保つことは、指導者としては大事です。

これは決して、新人看護師を見捨てるということではありません。
指導者としては寄り添うけれども、指導者と新人看護師の課題は分離して考えます。

 

逆を言えば、かおるこさんがメンタル疾患を抱えている事と、新人看護師の成長度合いについても分離して考えなくてはなりません。

新人看護師が、指導される側としてかおるこさんの体調を気にして質問をできなかったり、一緒にネガティブな感情に引きずられてしまうような状況にならないよう、周りがバックアップしていく必要があります。

指導者側の都合などにより、元々不安が強い新人看護師の気持ちをかき乱さないように気を付ける必要があると私は思っています。

 

かおるこさんの職場で、かおるこさんのメンタル疾患についてどのように取り扱っているのかはわかりかねますが、新人看護師が「かおるこさんって、メンタル疾患で休んでたことがあるらしいよ」とか、「一回プリセプターやってたのに、途中で降りたらしいよ」などという噂話に振り回されないよう、配慮する必要があると個人的には思います(上司の考え方にもよると思いますが)。

また、かおるこさんにそのような背景があるからといって、新人看護師は指導者側に遠慮する必要性は全くないことを伝えるべきかと思います。

指導する側、指導される側双方が、「メンタル疾患を持った私がプリセプターをしているせいで、新人看護師がうまく育たなかった」とか、「かおるこさんがメンタル疾患を患っているから、私はいつまでたっても成長できない」という課題が混在した状態にならないためには、目的と目標をはっきりさせておくと良いかと思います。

新人看護師の1年目の達成目標は、新人看護師のチェックリストに示されています。
病院によっては、独自の目標シートなどもあるかもしれません。

プリセプターの達成目標は、新人看護師が1年をかけて目標を達成できるよう、心身ともに支えることです。

指導において迷ったり、ネガティブな感情に飲まれそうになったり、方向性がわからなくなったりしたら、目標に戻る。

大事だと思っていても、目標や目的については見失いがちです。

迷った時は目標に戻る。

困ったことがあったら思い出してみてください。

④無理して「理想の先輩」を演じようとしなくても大丈夫

プリセプターになると、新人看護師にとって「絶対的に正しい人」になろうとする人がいます。

自分が考える「理想の先輩」に、なろうとするのは自由ですが、無理に演じようとしなくても大丈夫です。

新人看護師から質問されてわからないことは、一緒に調べる。これでいいんです。

そして、もし自分の中でも不明確で適当に答えてしまったかもしれないと思ったら、調べなおして後日訂正するのももちろんありです。

無理に「出来る先輩」「必ず正解を教えてくれる先輩」になろうとすると、だんだん辛くなっていきます。

質問に答えられない先輩でありたくないあまり、不得意分野を質問されると適当にごまかしてうやむやにしてしまうと、新人看護師からの不信感が募ってしまうでしょう。

新人看護師とプリセプターは、1年間共に学び、共に成長する。

この視点で私はオッケーだと思います。

⑤無理して「新人看護師の友達」になろうとしなくても大丈夫

プリセプターと新人看護師が、とても仲良しで、一緒にご飯に行ったり、旅行に行ったりするペアも中にはあるかと思います。

プリセプターは新人看護師に寄り添うことが一番の役割と私は常日頃言っていますが、それは「友達関係になれ」という意味ではありません。

友達になっても悪くはないですが、近すぎると言えない関係性も良くないんです。

プリセプターと新人看護師の距離は、ある程度お互いに客観視できるくらいの距離感がちょうどよいと考えています。

かおるこさんは、知らない人と時間を共にすることに抵抗があると思いますが、無理して仲良くなろうと思わなくて大丈夫です。

ただし、気軽に声をかけてもらえるような関係性は必要です。

③の項でも書きましたが、距離感は近すぎず遠すぎずがベスト。

もし自分の性格上、どうしても距離が遠すぎているなと感じたら、近づける努力はある程度必要かもしれません。

それも、無理にとは言いません。大事なのは、新人看護師がプリセプターとその職場に「受け入れられている」と感じられる環境にあるかどうかです。

もし距離を近づけることが過剰なストレスと感じるなら、他のスタッフがその役割を担う「分業」もありかもしれません。

 

さくらこ先輩
さくらこ

最後に、さくらこ から かおるこ さんへ

この度は、投書箱よりお悩みを送信していただきありがとうございました。

お悩みに対し私が考える出来る限りの回答を書きましたが、センシティブな内容だったので、この返答でかおるこさんが傷つかないか考えながら作成しました。そのため、少しお時間を頂戴してしまい、申し訳ありませんでした。

4月に入り、新人看護師が入職して来た頃かと思います。

実際に受け持つことになった新人看護師との関係性等でまたお困りのことがありましたら、またお問い合わせください。

さくらこ


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